甘夏とエルダーフラワーのチーズケーキ

天然酵母で仕込んだ全粒粉クラッカーを砕いて、バターと混ぜて焼き戻してシェルに。ざくっと香ばしくて、発酵由来の乳酸系の香りがほんのり出てくる。いわば、チーズやジャムの“座布団”になるやつ。

チーズ層は、九州産のフレッシュなクリームチーズとサワークリームを使って、しっかり焼き込んだNYスタイル。甘夏や花の香りが引き立つように、チーズ感は控えめにして、食感はなめらかに。

そして真ん中のジャム。

甘夏は房ごと煮ると皮が硬くなっちゃうので、1房ずつ手で果肉だけ取り出してます。あたまおかしくなるような作業だけど、こうしないと食感が濁る。粗糖ときび砂糖を使って、苦みの奥にじんわりと甘さが残るように炊き上げてます。

ちゃんと「茶色くてうまいやつ」に仕上がってる。

最後に、バタークリームには〈エルダーフラワー〉のリキュールを少し。

リナロールとかゲラニオールとか、フローラル系の香り成分が豊富で、

チーズや果実と“言語が通じる”構造をしてる。

つまり、全然違う香りだけど、ひとつの中で仲良くできる設計。

食べると、最初にクラッカーの香ばしさ、そのあとで果実の酸味とチーズのやわらかさ、花の香りがふわっと遅れて立ち上がってくる。

構成はシンプルだけど、順番まで含めて、ちゃんと設計してある。最高。